産業革命は18世紀末のイギリスで始まったとされています。
では、なぜイギリスで始まったのでしょうか?
気になったので、調べてまとめてみました。
産業革命とは?
産業革命は英語で「Industrial Revolution」と言います。
この言葉を当てはめたのが、英国の歴史学者アーノルド=トインビーです。
トインビーは、18世紀から19世紀の産業の構造変換を革命と表現しました。
革命という言葉は、アメリカ独立革命やフランス革命など、政治的なものを指すことが多いですが、この産業革命も市民革命と同じく重要な歴史的転換であると彼は考えたのです。
産業革命は、それまでの主要な生産方法を大きく変え(工業化)、人々の生活や社会構造を根本から変化させた出来事でした。
また、産業革命は繊維業界から始まりました。
ジョン・ケイの「飛び杼(1733年)」、ジームス・ハーグリーブスの「ジェニー紡績機(1769年)」、リチャード・アークライトの「水力紡績機(1769年)」、サミュエル・クロンプトンの「ミュール紡績機(1779年)」などが代表的な発明品として知られています。
また、産業革命と言えば蒸気機関とは切っても切り離せません。
世界で最初の実用的な蒸気機関は、トマス・ニューコメンが1712年に完成させました。
炭鉱に溜まった地下水や雨水を排出するためのポンプとして利用されました。
これらの発明の共通点は、「人間の労働を機械に置き換えるもの」だったという点です。
なぜイギリスで始まったのか?
なんと、この疑問に対する明快で決定的な解答はないそうです。
つまり、100人の識者がいれば100通りの答えがあるということです。
しかし、これまでに様々な考察がされています。
今回は、その中でも代表的なものを3つほど紹介させて頂きます。
仮説1:労働者賃金の高さが産業革命を引き起こした
英国は、植民地との交易を通じて、農民の減少という職業構成の変化が生じ、都市化が進展しました。
これによって、英国では賃金が他国よりもかなり割高となり、綿工業などでは労働を節約するために新技術を開発する機運が生まれ、産業革命がもたらされたのではないかという仮説です。
英国では労働が割高で、機械設備が割安だったのです。
他国はそうではありませんでした。
特にアジア諸国では、賃金が英国よりも安価であり。綿工業において機械での生産を行うことはむしろ割高でした。
仮説2:石炭入手の容易さが産業革命を引き起こした
産業革命以前の世界は、一定の面積を有した土地から、食料やエネルギー(森林資源)を再生可能な形で生み出していかなければならないという「土地の制約」に直面していました。
ところが、英国ではエネルギー源として森林資源ではなく石炭を使用することができ、しかも食料を新大陸(アメリカ)から輸入することが可能であるがゆえに、「土地の制約」から「自由」になれたため、産業革命が起こったのではないかという仮説です。
仮説3:「包括的な制度」の確立が産業革命を引き起こした
産業革命期には多くの発明がなされています、
しかし、人々がそのような活動に従事したのは、知的財産権が英国において確立していたからだ、と考えられています。
そうでなければ、他者の発明はすぐに模倣されてしまい、発明者は正当な対価を得ることができず、発明という行為は停滞するからです。
英国においてのみ、名誉革命において上記の知的財産権の確立とともに、海外との貿易における国家独占が弱まり、金融制度が改善されました。
このような「包括的な制度」の下で、社会の幅広い層にビジネスチャンスが生まれました。
つまり、「包括的な制度」の確立によって産業革命が起こったのではないかという仮説です。
参考記事
・なぜ産業革命はイギリスから始まったのか – MONEY PLUS
・産業革命 ~なぜ産業革命はイギリスでおこったのか~ / 世界史 by エンリケ航海王子 |マナペディア|
・18世紀、なぜ産業革命は中国や日本ではなく英国で起こったのでしょうか? | WHY?#04 | WHY ECONOMICS? | 経済学部 | 立命館大学