今回は、話題の厚労省、統計不正問題についてまとめていきます。
統計不正問題の概要
本来、全数調査すべきところを勝手にサンプル調査に切り替え、補正措置も忘れていたというのが不正の概要です。
その後、どういうわけか、2018年だけを補正するという措置を実施したため、2018年の賃金が過度に上昇する結果となりました。
一部の識者は、これを政権への忖度であると批判しています。
不適切に調査されていたのは「毎月勤労統計」
厚生労働省が不正に調査していたのが「毎月勤労統計」という超重要指標です。
これは労働者の賃金や労働時間をまとめたもので、非常に重要度が高いものです。
GDPの算出や失業保険の支給額の計算に使われるデータになります。
どんな点で不正が行われていたのか?
毎月勤労統計の調査は、従業員数が500人以上の事業所については「全数調査」と言ってすべての事業所を調査することになっています。
しかし、厚生労働省は2004年から、東京の事業所については、500人以上の事業所については全数調査ではなく3分の1しか調査していませんでした。
仮に3分の1しか調べなかったとしても、それを3倍すれば本来の数字に近い数字は出てくるでしょう。
しかし、厚生労働省は2004年から17年までの間は3倍にしてこなかったのです。
結局、どの結果にどんな影響が出ていたのか?
先ほど述べた、東京の500人以上の事業所は賃金が高い傾向にあります。
それが3分の1になってしまうということは、毎月勤労統計の調査結果で「賃金(給料)のデータが実際よりも低く算出されてしまっていた」のです。
その結果、毎月勤労統計の賃金データの部分に基づいて算出されていた、失業保険や育児休業給付金などが実際よりも低い金額になってしまっていました。
厚労省、統計不正問題まとめ
①厚生労働省が毎月勤労統計の調査を不適切に行っていた
②それにより、賃金データが実際よりも低い数値になっていた
③その結果、失業保険や育児休業給付金が少なく算出されていた
こんな感じですね。
全数調査すべきところを、3分の1しか調査していなかったという点が最初の問題です。
たしかに統計上、この点は大きな問題です。
ボクは大学で心理学を学んでいて、統計学を少しかじっているので、ことの重大さは分かります。
しかも、これを日本の政府機関が行っていたという点も含めて考えると、本当に大変な問題だと思います。
しかし、これを厚生労働省の不正問題として、厚生労働省で関与していた官僚や、直接的責任があるであろうと考えられる厚生労働大臣や、その他の政治家を処分するだけで良いのでしょうか?
それが、本当にこの問題の解決になるのでしょうか?
ボクはそうは思いません。
そんな表面的な問題だとは思えません。
昨今騒がれている、政治に関する様々な問題は、現在の政治システムの限界を表しているのではないかと思います。
近年の投票率が低下傾向にある点からも、議員が代わりに政治を行う間接民主制という政治システムそのものが、民意を正確に反映できていないのではないでしょうか。
少なくとも、ボクの中にはそのような疑念があるので、今後も心理学的視点から、間接民主制に関する研究を続けていきます。
まずは、今の自分にできることをしていきましょう。
では。